ゲーマーズ!9巻 雨野景太と青春スキルリセット 感想

ゲーマーズ!9 雨野景太と青春スキルリセット (富士見ファンタジア文庫)
KADOKAWA / 富士見書房 (2018-02-20)
売り上げランキング: 96

亜玖璃エンドの可能性については昨年に記事を書いたが、まさか9巻でここまで進展するとは思わなかった。亜玖璃が表紙という時点でかなり期待していたが、今回のラストの展開によって二人の関係性に大きな変化が訪れそう。ヒロインレースにおいて、亜玖璃が本格的にダークホースとして育ってきた感じがする。一方、8巻で逆転バックアタックに成功したはずの千秋は今回不調気味。瀕死のゴールデンピエロとか言われていた天道さんが意外にも大健闘。雨野の天道さんへの想いが全くぶれていないことが明らかになった巻でもあった。千秋も対抗馬としてのポジションを確立してきたが、本命の天道さんが強すぎて全く勝負になっていない感がある。

9巻の内容を紹介すると、まずは元日の初詣にて雨野兄弟と星ノ守姉妹が遭遇。光正と心春の策略によって、雨野と千秋は元日からデートを強いられることになる。そして二人のデート現場を目撃して尾行する天道さん。雨野は千秋への恋愛感情を認めつつも、天道さんを好きであることを千秋に告げる。それを聞いた天道さんはホワイトデーを期限に勝負を決着させることを二人に提案する。雨野の勝利条件はホワイトデーまで天道さんを好きでいること。千秋の勝利条件はホワイトデーまでに雨野を振り向かせること。いつの間にか雨野と千秋の勝負になっていた。でも、冷静に考えると2対1の勝負なので不公平な感じはする。

ホワイトデーに向けて、雨野はこれまでのような勘違いや錯綜に巻き込まれないように細心の注意を払っていた。亜玖璃から例のごとくファミレスに呼び出された雨野であったが、別れのタイミングで雨野はファミレス会をしばらく控えることを亜玖璃に告げる。雨野の考えに理解を示した亜玖璃であったが、不自然な別れ方に違和感を覚える雨野。

さらに伏黒真音と伏黒美衣という新キャラが登場。上原、光正、三角、加瀬先輩という微妙な距離感の男子中高生4人組は妙な偶然から迷子になっていた小学生の美衣を保護。上原に呼び出された雨野は美衣の保護者探しに付き合うも、いつもと違う様子の雨野に上原は違和感を覚える。ここで雨野と上原は美衣の保護者、魔王と称せられる作中屈指の強キャラである真音との邂逅を果たす。

天道さんがゲーム部で見つけた古いゲームには過去のゲーム部員のスコアアタックの記録が残されていた。徹夜でスコアアタックに取り組む天道さんはゲーム同好会の力を借りて、ついに過去のゲーム部員のスコアを超えることに成功する。しかし、スマホゲームに移植されたそのゲームでは過去のゲーム部員と思われるMAIが更なるスコアアップを成し遂げていた。

休日に亜玖璃の家に呼ばれた雨野は真音が亜玖璃の従姉妹であることを知る。そして様々な物の所有権を賭けた勝負に連敗を喫する雨野と亜玖璃。雨野と亜玖璃は真音こそがMAIであることに気付く。居候の従姉妹に困りきった亜玖璃は助けを求めて雨野を頼ったが、賭けの内容がエスカレートしていくことに罪悪感を感じ、思い直して上原を頼ることに決める。しかし、真音が亜玖璃のラベアーズを奪い取ったことで、とうとう雨野は真音を見逃せなくなってしまう。雨野は自分の所有権を代償に、亜玖璃の全てを賭けてテレビゲームで真音に勝負を挑む。

新キャラの真音が異様すぎて注目がそちらに行ってしまうが、雨野と亜玖璃の関係性に一石を投じる重要な巻であった。今後の展開としては二通り考えられる。一つは雨野が真音に敗れ、雨野の所有権を真音に奪われるケース。スコアアタックが伏線となっており、雨野を賭けて天道さんが真音に勝負を挑む展開となりそう。もう一つは雨野が真音に勝利してしまうケース。雨野がゲームで真音に勝つ姿は想像しにくいが、物語の展開としては考えられなくもない。その場合は亜玖璃の所有権を雨野が獲得することになり、既に雨野は亜玖璃の彼氏として真音に紹介されていることから展開としては面白そう。

今回のラストで亜玖璃ルートの入口まで来た感じはするが、客観的に見ると天道ルートが本命だろうなというのが正直な感想。亜玖璃のために立ち上がった雨野ではあるが、その行動基準が天道さんであることも明白になった。天道さんが好きになってくれた、ありのままの自分でいるというのが雨野の答えであり、今後も物語の軸となるのは天道さんで間違いないだろう。一方で雨野と亜玖璃の関係性について友情を超えた何かであることも匂わせており、二人がそのことに気付き始めているような描写があったことも事実。

以上を踏まえた上で、やはり自分としては亜玖璃ルートを推したいと思う。天道さんが好きになってくれた、ありのままの自分でいるという雨野の答え、これは一見すると天道ルートを確信させるものであるが、その意味するところは亜玖璃ルートである。簡単に図式化すると、天道さん=理想の女、亜玖璃=現実の女であり、雨野が自分を貫くということは現実への帰還を意味する。サブタイトルの青春スキルリセットは究極的には天道ルートをリセットしたということになる。雨は太陽とも星とも共存することはできないが、大地を潤すことはできる。雨の本質を考えれば、大地と一緒になるのが相応しいだろう。

コメント

人気の投稿