2016年3月21日月曜日

冴えない彼女の育てかたGirls Side2 感想

冴えない彼女の育てかた Girls Side2 (ファンタジア文庫)
丸戸 史明
KADOKAWA/富士見書房 (2016-03-19)
売り上げランキング: 4,233
9巻ラストで加藤が英梨々との仲直りを決意してから早くも4か月。Girls Sideの第二弾がついに出版。前回の英梨々×詩羽なGirls Sideも良かったけど、今回の加藤×英梨々なGirls Side2も素晴らしい出来。Fan Diskはともかく、Girls Sideは完全に本編と不可分なので冴えカノ読者は一読必至。さらにアニメの続編についても、2017年4月からの二期放送開始が決定。あと一年も待たないといけないのかと絶望を感じつつも、本命の春アニメに抜擢されたことで一層期待が高まる。

本巻は加藤と英梨々の仲直りがメインだが、前回のGirls Sideとは異なり他のキャラクターも多く登場。特に最初と最後に登場した美智留が目立っていた印象。もしやGirls Sideで美智留の話を進めることにより、本編の美智留シーンを減らす作戦か。そんな政治的判断を感じてしまう程、美智留がページ数こそ少ないものの目立っていた。

まずは美智留と詩羽先輩の邂逅。時系列的には8巻と9巻の間。楽器店を巡りにお茶の水にやって来た美智留は古書店を巡りに神保町に来ていた詩羽先輩と偶然出くわす。詩羽先輩をカレーショップに誘った美智留はいつものマイペースで詩羽先輩を苛立たせるだけかと思いきや、真剣モードで英梨々と詩羽先輩のサークル離脱について攻撃を開始。詩羽先輩が言い争いで劣勢に立たされている姿は初めて見たかもしれない。美智留が加藤や出海のこと、blessing softwareの今後について真面目に考えていたのが意外だった。少し修羅場モードに突入したものの、美智留も詩羽先輩もblessing softwareを大事に思っているという点は共通しており、最後は美智留が詩羽先輩の携帯アドレスをゲット。詩羽先輩にも女友達ができた…という良い話でまとまった。女友達というと英梨々が一番に該当するはずなのであるが、英梨々との関係は娘と保護者みたいな感じになっているので、対等な関係という意味では美智留が初めてかもしれない。対等な関係というか悪友というか。この邂逅が9巻における詩羽先輩から倫也へのアドバイスに繋がったようである。

続いてaround 30's side。詩羽先輩の編集担当である町田苑子と紅坂朱音の邂逅。二人は早応大学の漫研同期にして、今は霞詩子を奪い合う関係。ただし、紅坂朱音の本当の目当ては柏木エリで、町田さんは霞詩子を過小評価する紅坂朱音に腹が立っている模様。しかし、紅坂朱音がクリエイターとして本気で柏木エリに惚れ込んでいることが分かり、少し印象が良くなった。いや、今まで紅坂朱音ってラスボスのような立ち位置だったので。是非とも英梨々をクリエイターの高みに連れて行って欲しい。

8巻と9巻の間に入るもう一つの物語が椿姫女子高校アニソン同好会の放課後。追試の美智留が不在の中、トキ、エチカ、ランコの三人による女子トークが繰り広げられる。女子トークの対象は美智留と倫也の関係、倫也と加藤の関係、さらにicy tailの二代目プロデューサーに就任した伊織と倫也の関係について。伊織×倫也はここでも健在だった…。ただし、豊ヶ崎への編入を画策していた美智留に対して三人は微妙にわだかまりがある様子。さらに伊織が就任早々に持ち込んだ秋葉原での単独ライブに対しても、美智留と三人では温度差がある様子。しかし、結局は美智留に付いていくことに決めた三人。blessing softwareに続いてicy tailも崩壊…なんてことにならなくて良かった。相手が加藤だったら絶対バンド解散してた。

次は9巻より後の物語。ところで表紙の女の子って一体誰ですか。相楽真由と波島出海、二人のイラストレーターがサンクリで邂逅する。伊織の計略によりファンシーウェーブとしてサンクリに参加することになった出海は、些細なきっかけで隣の壁サークルcutie fakeのお手伝いさんと話し始める。出海が出品した「冴えない彼女の育てかた(仮)」のラフスケッチを絶賛する彼女は最初こそ素人のように思われたが、出海がスランプに陥っていたことを告げると、出海のイラストが物語と相乗効果を生む凄い絵に仕上がっていることを教えてくれる。彼女こそ詩羽先輩の二作目「純情ヘクトパスカル」のイラストレーター嵯峨野文雄の正体、相楽真由であった。

そしてGirls Side2のメインとなる加藤と英梨々の仲直りを描く物語。一泊二日の修復。9巻エピローグにおいて加藤は英梨々との仲直りを決意するが、そんな簡単に仲直りができるはずもなく…。6月一週目の土曜日、東京駅の新幹線改札口から物語は始まる。9巻エピローグの後、悩んだ末に加藤が英梨々に送ったのは「合宿のお知らせ」という一通の謎メールだった。合宿の舞台はアニメ0話に登場した長野県の高原(白樺湖が登場するため恐らく蓼科高原と思われる)。原作にはなかったオリジナルエピソードをここで活かしてくるとは…。

この期に及んでも気まずい雰囲気が漂う二人。新幹線に乗って加藤はようやく今までのことについて話を始めるが…。

「だから、英梨々が突然サークルを辞めたって、霞ヶ丘先輩を巻き込んだって、倫也くんを裏切ったって知ったら、なんか許せなくて、今でもやっぱり整理できてなくて……」

やはり加藤は英梨々を許していなかった。そして旅先では天候にも恵まれず、雨雲に覆われた高原は二人の気持ちを表しているかのようで。旅の失敗に落胆する加藤に気を遣い、フィールズ・クロニクルの奇襲シーンとして雨の高原をスケッチする英梨々。しかし、クリエイターモードの英梨々を見た加藤は余計に疎外感を覚えてしまう。結局、雨の中をずぶ濡れで四時間もスケッチに費やした二人。夕食の席になっても会話の弾まない状況に耐えかねた英梨々がついに話を切り出す。

「あたしが何をしたら、恵は、仲直りしてくれるのかなぁ?」

「何もする必要なんかないよ。だって、英梨々は何も間違って……」

「そんなのどうでもいいよ!間違ってようがなんだろうが、恵が嫌なところを直すって言ってんの!」

「……無理なんだよ、それは」

「なんで!?そんなのやってみなくちゃ……」

「だってわたし……本当は、英梨々に、サークルに戻ってきて欲しいんだもん。また一緒にゲーム、作りたいんだもん」

加藤は本当に英梨々が好きなんだと分かったシーン。そして加藤と英梨々は温泉へ。英梨々はblessing softwareにいると倫也に甘えてしまうこと、追い込まれないと自分はクリエイターとして成長できないことを告げる。ただし、英梨々は倫也、加藤、詩羽たちに自分を世界一のイラストレーターだと認めさせることができた暁には、もう一度blessing softwareに戻ることを宣言。世界一凄くて、世界一幸せなイラストレーターになることを誓った英梨々はクリエイターモードの英梨々に違いなかったけれど、それは加藤にとって全然嫌な英梨々ではなかった。

入浴を終えて布団に入った二人はしとしと降る雨音の中、いよいよ静かに和解に向けた一歩を踏み出す。と思いきや、ここで加藤が倫也の書いた英梨々シナリオを暴露。最初こそ激怒する英梨々であったが、倫也の書いた自らのシナリオを読み終えて感動。そして英梨々との仲直りシナリオを紡ぐことを宣言した加藤はそのまま英梨々と夜通し語り明かすことに。翌朝、そこにはハイテンションな様子の英梨々とそれに付き合う加藤の姿が。ついに二人は仲直りを遂げたのであった。

エピローグはicy tailの単独ライブ。blessing softwareのメンバーに加え、詩羽先輩と英梨々もこっそり来場。詩羽先輩が美智留と仲良くなっていて微笑ましい。加藤と英梨々のダブルヒロイン体制に入ってから影が薄くなった感じもするが、やはり詩羽先輩も良い。そしてicy tailのライブは成功。普段はマイペースな美智留がblessing softwareの仲間に、そしてblessing softwareで活動を共にしたかつての仲間たちに曲を捧げるシーンが良かった。Girls Side2の表ヒロインが加藤と英梨々なら、裏ヒロインは美智留で決定。

ラスト2ページ。仲直りを遂げた夜、布団に包まりながら語り合う加藤と英梨々。

「気持ちってのは、変わり続けるものだよ、英梨々」

「それって……」

「ずっと、何とも思ってなかった相手だったのに、ある日を境に、その、そうじゃなくなる、こともある」

「え……」

「もちろん、そうじゃなくなったはずなのに、またある日を境に元通りになることだってある」

「どっちなのよ!?」

「さぁ、どっちなんだろうね?ま、でも、一つだけ言えることは……」

「言えることは?」

「少なくとも、一度は変わったこと、あるよ?」

ついに、これまで明言されていなかった加藤の気持ちが明らかに。7巻の時点では倫也に恋愛感情は抱いていなかったはずだけど、どの日を境に気持ちに変化が生じたのか。「一度は変わったことある」という発言から、倫也に対する感情はまだ定まっていないと思われる。それにも関わらず溢れ出る加藤の正妻感。加藤の倫也に対する感情が定まったとき、これが物語の転機になりそう。そして次なる修羅場へ…。

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