2015年10月31日土曜日

BRICsの次に発展する四か国

20世紀後半はG7の時代であった。G7はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの七か国を指す。G7が世界のGDPの半分以上を占める時代が長らく続き、国際社会はG7を中心とした主要先進国によって動かされてきた。2000年代からは経済成長の著しい大国としてBRICsが注目されるようになる。BRICsはブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字で、いずれも巨大な人口と広大な国土を抱えている。21世紀の経済大国として有望であり、アメリカ合衆国を除いて先進国はいずれもBRICsに経済力で敵わなくなる時代が来ることが予想される。既に中国は日本とドイツをGDPで抜かしている。

BRICsに次いで今後の経済成長が期待される新興国として、よくNEXT11が挙げられることが多い。NEXT11は韓国、ベトナム、フィリピン、インドネシア、バングラデシュ、パキスタン、イラン、トルコ、エジプト、ナイジェリア、メキシコの十一か国である。しかし、中進国である韓国、トルコ、メキシコと最貧国であるバングラデシュ、パキスタン、ナイジェリアが同じグループに属しているのは違和感がある。NEXT11には共通点がなく、NEXT11の全てが経済成長を遂げるとは考えにくい。特にバングラデシュ、パキスタン、ナイジェリアは人口大国ではあるが、教育水準が低いため急速な発展は望めないだろう。

地政学的な観点から予測すると、BRICsの次に発展する国として四つの国が挙げられると思う。それは韓国、ベトナム、トルコ、ポーランドである。人口規模は韓国が5000万人、ベトナムが9000万人、トルコが8000万人、ポーランドが4000万人と地域大国のレベルにはあるが、世界的な大国と呼べるほど大きい規模ではない。ちなみにGDPは2014年時点で韓国が13位、トルコが18位、ポーランドが23位、ベトナムが56位である。

これら四か国に共通するのは中国かロシアに隣接する地域大国という点である。アメリカ合衆国の最大の仮想敵は中国とロシアであり、現在も中国とは南シナ海、ロシアとはクリミア半島の領有権問題で争っている。シーパワーであるアメリカ合衆国が最も恐れることは、ユーラシア大陸が強大なランドパワーによって支配されることである。かつてはナチスドイツ、ソビエト連邦、現在は中国とロシアを危険な存在として認識している。そのようなアメリカ合衆国にとって、中国とロシアに隣接する地域大国は両国を牽制する上で非常に重要な存在である。韓国は現在もアメリカ合衆国の同盟国であるが、中国との戦争の際に最前線となるのが韓国である。また、ベトナムは陸路においても海路においても、中国がアジアに進出する際の玄関口となる。トルコもロシアが黒海から地中海へ、あるいは中東へ進出する上での要衝である。ポーランドはロシアの侵攻からヨーロッパを守る防波堤であり、歴史的にもドイツとロシアが争ってきた国である。

アメリカ合衆国は中国とロシアへの抑止力として、今後四か国を積極的に自陣営に繋ぎとめようとするはずである。中国は経済的支援によって発展途上国を自陣営に取り込み始めているが、アメリカ合衆国はそれを上回る規模の経済的支援を四か国に行っていくだろう。見返りはアメリカ合衆国に対する軍事的な協力、中国とロシアの監視である。BRICsが台頭する一方で、まだまだ世界経済を支配しているのはアメリカ合衆国であるため、そのアメリカ合衆国の支援を受ける四か国は経済的な発展が約束されていると言える。日本が経済大国になった一因もここにある。戦前はロシア帝国の抑止力となることを期待されて、大英帝国の支援を受けて列強の一角に上り詰めた。戦後は極東を共産主義から守る最後の砦として、アメリカ合衆国から強力な支援を受けた。ベトナムは社会主義国家でアメリカ合衆国の仇敵でもあるが、地政学的には非常に相性が良い。第二次世界大戦後の日米関係のように、米越関係も今後急速に近しいものとなっていくだろう。

かつて中国の好敵手は日本、ロシアの好敵手はドイツであった。しかし、日本とドイツは人口減少による内需の減少が見込まれており、両国の企業は海外市場への進出が避けられない。両国の企業が狙うのは地理的に近く、経済成長が著しい中国とロシアの市場であり、経済的な事情によって日本とドイツは正面から中国とロシアを敵に回すことができない。現在は韓国の中国依存が指摘されているが、韓国程度の規模であれば中国への抑止力としての期待から、アメリカ合衆国は韓国企業に自国の市場を提供するだろう。これが韓国ではなく日本になると、市場を全て食い尽くされかねないため、アメリカ合衆国は韓国にしかこのような優遇は行わない。そのため、日本とドイツはアメリカ合衆国とも、中国やロシアとも微妙な距離を保ち続けていくことになると思われる。その中で、韓国、ベトナム、トルコ、ポーランドはBRICsに次ぐ経済発展を遂げていくのではないかと予想する。

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