2014年12月28日日曜日

旧枢軸国の電気料金が高い理由

第二次世界大戦の戦勝国であるアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国に比べて、敗戦国であるドイツ、イタリア、日本の電気料金は高い。敗戦国の電気料金が高いことは偶然の産物ではない。そもそも枢軸国が軍事力の増強と植民地拡大に向かったのは、後発で帝国主義競争に加わったために僅かな植民地しか持っておらず、世界恐慌後のブロック経済化によって、資源と市場を失って経済的に行き詰ってしまったためである。打開策はイギリスやフランスのように広大な経済ブロックを獲得することである。そこで枢軸国は第二次世界大戦に突入した。ドイツは東欧とロシア、イタリアはバルカン半島と北アフリカ、日本は中国と東南アジアを獲得するべく、先発の列強に挑戦した。しかし、戦争の長期化によって持久力に乏しい枢軸国は敗れてしまった。

戦後、狭い国土に押し込められたドイツ、イタリア、日本は資源に恵まれず、海外から高い化石燃料を購入するしかなかった。一方、アメリカ、ロシア、中国は広大な国土を有し、豊富な化石燃料に恵まれている。アメリカは石炭資源が豊富で、近年はシェール革命によって天然ガスの産出量も多い資源大国になっている。ロシアは世界最大の天然ガス産出国であり、中国も世界最大の石炭産出国である。広い国土を有する国ほど資源に恵まれるのは自明の理である。

イギリスは現在の国土こそ小さいものの、大英帝国時代の名残で植民地だった地域を中心に海外に資源権益を多く有している。五大オイルメジャーのBPとロイヤルダッチシェルがイギリス企業であることからも、それは読み取れる。もし日本が中国と東南アジアへの影響力を保持していれば、満州の石炭、インドネシアの原油などの利権を現在まで引き継いでいたかもしれない。原油というと、サウジアラビアなどのOPEC諸国が権利を牛耳っているように思われるが、原油の採掘、運搬、販売には先進国の技術と資本が欠かせない。原油の利権は未だにアメリカ合衆国やイギリスの手の内にあるといっても過言ではない。

フランスは電源構成に占める原子力の割合が8割を超える原子力大国で、化石燃料の不足を補っている。戦勝国は軍事的優位性を確保する観点から原子力の必要性が国民に理解されているが、敗戦国である日本、ドイツ、イタリアは敗戦後に脱軍国の歴史を歩んできたために軍事力に対する意識が低く、原子力に対するアレルギーは強い。低コストな原子力発電を活用しようとするのは戦勝国で、敗戦国では脱原子力の動きが強い。イタリアは既に原子力発電所の稼働ゼロを達成し、ドイツも福島第一原子力発電所の事故を受けて原発ゼロ政策を打ち出した。日本は原子力発電所の再稼働に向けて動いているが、厳しい審査と安全対策に要するコストによって、かなりの数の原子力発電所が廃炉に追い込まれてしまうだろう。

化石燃料に乏しい、原子力の活用も難しい、このような状況に陥った旧枢軸国で人気が高いのが再生可能エネルギーである。ドイツはヨーロッパで最も再生可能エネルギーの普及に力を入れる国であり、風力発電を中心に再生可能エネルギーの導入に熱心である。日本も2012年に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まり、太陽光発電が爆発的に普及するようになった。しかし、高コストな再生可能エネルギーの普及は電気料金の上昇につながる。再生可能エネルギー導入の裏側では、出力変動を調整するために既存の火力発電所が低い稼働率に追い込まれている。送配電設備の増強も必要で、いたずらに設備を増やしてコストの増加を招く結果につながっている。高い化石燃料に、高い再生可能エネルギー、さらに原子力利用の低下、この三重苦のような構造が高い電気料金につながっている。その起源は19世紀の帝国主義時代にまで遡るのである。

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