2014年12月13日土曜日

地理的視点から考えた東北エネルギー戦略

日本は人口減少の時代に突入したが、その最先端を突き進んでいるのが東北地方である。東北地方の人口ピークは1990年代で、2000年代から急速な人口減少が進んでいる。人口減少社会においてはコンパクトシティ化が欠かせない。コンパクトシティは都市機能の集約化によって、効率的な都市運営を行おうとする概念であり、道路、水道、公共施設といった行政が要する費用を最小限に抑えることができる。人口減少によって税収が減った分は支出の削減で補う必要があり、コンパクトシティ化によって人口減少が進む地域も存続していくことが可能になる。特に東北地方は除雪費用削減の観点からもコンパクトシティ化の効果が大きい。

全国の自治体の中では、LRTで有名な富山市がコンパクトシティ政策で先行している。LRTはLight Rail Transitの略称で、低床車両の路面電車のことである。公共交通機関としてはバスと鉄道の中間に位置する。その成否はともかく、富山市はLRTによって中心市街地の活性化を図っている。東北地方でも仙台市や青森市がコンパクトシティを政策目標として掲げている。仙台市の地下鉄東西線プロジェクトもコンパクトシティ政策に沿ったものであり、都心の公共交通機関を充実させることで郊外型の車社会に歯止めをかけようとするものである。

寒冷地である東北地方ではコンパクトシティ化と並行して、新たに地域熱供給システムを整備することで地域全体の光熱費削減が図れるかもしれない。デンマークの首都コペンハーゲンでは小規模の火力発電所が各地域に設置され、発電によって生じた熱水を配管を通じて地域の各建物に供給している。日本でも東京都心ではオフィスや商業施設などで地区レベルのコージェネレーションが行われているが、コペンハーゲンは普及率が100%に近いレベルまで達している。暖房や給湯など熱需要の大きい寒冷地において、この地域熱供給システムは経済性に優れている。東北電力の主要な火力発電所は仙台、八戸、秋田、酒田、いわき、新潟、上越と大きな都市に集中しているため、既存の火力発電所を拠点に地域熱供給システムを整備してはどうか。コンパクトシティ化が進めば、地域熱供給システムを整備するコストも最低限に抑えることが可能になる。

新潟と仙台の間には天然ガスのパイプラインが整備されており、パイプラインを通じて東北地方の主要都市は天然ガスにアクセスすることが可能である。東日本大震災で仙台のガス供給が停止したとき、被害の小さい新潟とパイプラインで接続されていたため早期復旧が可能であったことは記憶に新しい。また、ロシアと日本を結ぶパイプラインの建設が進めば、安価なロシア産の天然ガスにアクセスすることも将来的に可能となる。パイプラインの整備や地域熱供給システムの整備にはコストがかかるが、長期的には化石燃料コストの削減につながる。国、自治体、エネルギー業界が協力して、将来に向けた大事業を今から検討していく必要があるのではないか。

また、東北地方のような人口減少の著しい地域は公益事業を統合して効率化を図る必要もあるだろう。電力事業とガス事業であれば化石燃料の調達、電力事業と水道事業であればダムの運営などで協力できる部分は多い。また、電気、ガス、水道の契約は基本的にセットにしても問題ないと思われる。コールセンター、地域の事業所、検針、料金回収なども一本化することで事業者は効率化を図ることができる。上記のような効率化は人口減少の著しい東北地方が率先して行っていく必要がある。

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