2014年12月24日水曜日

地熱大国日本における地熱発電の可能性

少子高齢化と人口減少によって経済力が低下する今後の日本において、エネルギーは安価であることが第一に求められる。経済性に優れる電源として、原子力、石炭火力、ガス火力、水力、大型風力、地熱が挙げられるが、この中で今後開発が進むと予想されるのはガス火力、大型風力、地熱である。原子力は最も安価な電源であり、安全対策のコストを入れても経済性に優れている。しかし、当然のことながら政治的に今後の開発は難しい。政治的リスクを抱える原子力に手を出そうとする事業者も日本にはいないのではないか。

原子力の次に安価な電源は石炭火力である。燃料費の安い石炭火力は原子力の代替電源として、首都圏を中心に多くの開発計画が浮上している。しかし、二酸化炭素排出量が増加している日本は国際的に厳しい立場に置かれている。いずれ石炭火力の新増設にストップをかける政策が打ち出されるはずである。もしくは莫大な炭素税を課せられて、石炭火力は経済性を失うかもしれない。水力は経済性、エネルギーの安全保障、環境性というエネルギー3Eを満たす優れた電源だが、残念ながら開発適地が日本には残っていない。消去法によって、これからの日本において電源開発の中心となるのはガス火力、大型風力、地熱である。

特に地熱発電の開発が期待される。日本の地熱資源量はアメリカとインドネシアに次ぐ世界第3位であるためである。資源小国日本の数少ない資源の一つで、原子力発電所20機分に相当する2000万kWのポテンシャルを持つ。日本は資源小国と言われるが、明治から昭和にかけて日本の産業発展を支えたのは間違いなく水力発電である。水力に恵まれたおかげで日本は電化と電化による産業振興に成功した。地熱発電はその水力発電に並んで日本のベース電源となる可能性を秘めているが、これまで日本では開発が進まなかった。現在までに僅か50万kWしか開発されていない。地熱発電開発には国立公園・国定公園内における開発規制、温泉の枯渇を不安視する立地地域の反対という課題があるためである。

2010年代から環境省によって開発規制は緩和される傾向にあり、開発可能な地域は広がっている。問題は立地地域の反対である。地熱発電の立地地域の多くは温泉地を抱えている。北海道札幌市の定山渓温泉、群馬県草津町の草津温泉、鹿児島県霧島市の霧島温泉など温泉地の反対は根強い。地熱発電に利用する地熱貯留層と温泉の泉源は異なっており、さらに日本では汲み上げた熱水を地中に還元している。海外では地熱発電によって温泉が枯渇した例も見られるが、そのような事例は日本においては見られない。しかし、地下のことは分かっていないことが多く、リスクがゼロとは断言できないため、温泉地の反対は根強いものがある。温泉が枯渇すれば、温泉地の経済は崩壊してしまうため、温泉に少しでもリスクのある事業を地元が受け入れようとするわけがない。

しかし、立地地域の問題は早晩解決に向かうのではないかと思う。経済状況の深刻な山村地域にとって、地熱発電は経済振興の要となるためである。北海道上川町は大雪山国立公園と層雲峡温泉を抱えているが、地熱発電に前向きな姿勢を見せている。秋田県湯沢市、群馬県嬬恋村なども同様である。これらの自治体は既存の産業だけでは地域の衰退は免れられないと考えており、地熱発電を地域振興の柱の一つとして考えている。発電所は立地地域に雇用と固定資産税をもたらす他、地熱発電は副産物である余熱の利用も可能である。北海道の渡島半島東岸に位置する森町濁川地区では地熱発電所の余熱が施設園芸に利用され、温室で栽培されるトマトは地域第一の特産品となっている。アイスランドでは地熱発電によって汲み上げられた熱水が世界最大級の温泉ブルーラグーンを生み出しており、一大観光スポットとなっている。アイスランドの事例は特殊だが、地熱発電は開発プランによっては地域産業を活性化させることができる。地熱発電開発にはエネルギー問題と地域問題に対応する一石二鳥の効果がある。政府は太陽光発電より地熱発電の支援に力を入れるべきではないだろうか。

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